あるソル日記

ある日、ある場所、ソルアの日記

青い純血の子

(あのメロディーを歌えば助けてもらえる助けが来る)
早く 早く はやく
「新しい、平和な世界を作るために、青の純血の子が必要なのです」
眼帯をした男がこの図書館の中で呼び掛ける。
私は床を見るように本棚の前に立つ。
(早く思い出せ私)
あのメロディーを口ずさむの

(思い出せない あぁもう思い出せない!)
図書館はもうすっかり奴等に取り囲まれていた。
やり過ごすことは、
(もう無理だ、逃げよう)
このままじゃ村が危ない。
そして奴等の言う、新しい世界って?どうせろくな物じゃない!
私は図書館から駆け出した。正面の急な階段を駆け下りて逃げるんだ。
なんなら、この階段から転げ落ちて死んでしまってもいいかもしれない。きっと世界も救える、そんな気がした。
踏切った私の腕を、瞬間掴まれた。
「ほら、やっぱり君だ。」
振り返らなくても分かった、あの眼帯の男だ。
「離せ!私だったらもっと上手くやれる、今まで新しい世界のために殺されてきた他の人のように私は捕まらない、死んで世界を守るんだあぁっ」
男の腕を振り切った私の体は、宙に浮いて、覚えていない。
 
気がつくと私は図書館の雨避けの天井を見上げていた。横たえられていた。
(あれ、生きてる。あぁ私、失敗したんだね、村を世界を救うために死ねなかった)
起き上がると、この図書館から村が一望できた。
奴等に占拠されているようだった。
いつもは賑わうこの図書館も、いるのは私と、横にいるこの眼帯男だけだろう。
男は器に並々と入れられた青く光る液体を平筆に付け、真っ白く平らな小さな石の表面へ塗っていた。
塗っては筆を洗い、そしてまた塗ってはまた筆を洗う。
「…石を浸せばいいのに」
私がそう呟くと男は、おもむろに一つの石を液体に浸した。
「これはな、意思のあるロボットと同じなんだよ…塗らないと染まらない」
そう男が言い、石を取り出したが、そこに青い色は付かないまま、真っ白な石がそこにあった。
「私、青い血なんて出したことない。なにそれ」
「……」
男は何も言わなかった。
べつに、こんな物ができる過程を聞きたいわけでもなかったので良いけど。
「……」
石から滴った物が地面を淡く青に染める。それが自分の物だったのか?と考えた。
(きもちわる…)
「不満そうだな」
淡々と石に色を付ける男が言う。
「石に不満の色が出ている」
「不満の色…?」
男は乾いた青い石と、懐から赤い石と、二つを私に渡した。
いや、後者は「石」と言うより「鉱石」と言うのか、研けば物を切れそうな石であった。
青い石は、本当に「石」と言っていいくらいのザラザラとした手触り。これが不満の色?
「石の質は宿り主の感情に反映される。赤い石は、何を思っていたんだろうな」
そう呟くと男はふと私から石を取り上げて懐へしまった。
「塗る人にもよるんじゃないの?感情が無いとか」
「お前には俺に感情が無いように見えるか…?」 
 
…という夢を見た!
なんかいつも見る夢と全然しらない舞台だったわぁ