あるソル日記

ある日、ある場所、ソルアの日記

深緑の竜は

一人で走った。
太陽か月かの光かは分からない。
けれど、その薄い光を反射してキラキラ光る砂の大地を西へ。
もうこの世界には、私を消せる存在はいなかった。
記憶を消せる存在はいなかった。
けれど。
まだ会っていない人がいる。
物語を書いていたあの頃に、好きだった深緑の竜。
その彼は随分昔に消えてしまったけど、もしここが…
物語の記憶を再現した場所なら。
彼は城に統べている。
ガラスよりも砂よりも、キラキラと青白く光る、水晶の城。
入れば、その中は鏡で出来た迷宮の様に。
 
―水晶の城に行って、帰って来た者はいない―
 
そんな、誰かの言葉を頼りに。
 
―帰って来たとしても、記憶を無くしていたそうだ―
 
本当だよね?